ピアノを弾いているとき,どんなことを考えていますか？
特別な時でなく、いつもの練習をしている時。
レッスン後の話の中で、素敵なお話を聞かせていただきました。
1年前に音楽リクレーションの講座に参加された女性、70代の方です。
その講座は3回「ジャズで楽しむ音楽リクレーション」だったので、私のピアノ伴奏はジャズの曲を弾いていました。「L-O-V-E」をメインとした選曲でした。
ジャズに興味を持っていただいたというお話から、ピアノを始められた方がこの女性です。
小さい頃にはピアノを習っていたそうですが、嫌でやめてしまったそうです。
先生も怖かったし、全く好きではなかったそうです。
でも音楽は好きで、夢はビリージョエルの「素顔のままで」を弾く事！
レッスンには月に2回ほど通われる中で、１年ほど経った今では、夢の曲はマスターされました。
レパートリーの1曲めがこの曲、そして2曲めも、ビリージョエルの「オネスティ」
すぐに弾けるようになり2曲めのレパートリーが仕上がりました。
2曲めが弾ける頃から、指の練習もする事をお勧めしました。そしてハノンを1番からやる事になりました。
ハノンをやる頃から「昔の本もやってみようかしら」と言われ、バッハのインベンションは好きだったのでやってみたいとなりました。
レッスンには、新しく購入された「バッハのインベンション」の本を持ってこられました。
インベンション2声の1番、何と完璧に弾けていました。
「ほぼ弾けています！難しくなかったですか？」と思わず聞いてしまいました。
「楽しくて夢中で弾いてきました」と。
「この曲を弾いている時、昔住んでいた家、お母さんが夕飯を作っている中でピアノを弾いている子供の頃の感覚になった」という話をされました。少し涙ぐまれて「夕飯のにおいまでしてくるのよ」とのお話もされていました。
わかる！私もピアノを弾いている時、いつも練習をしていた部屋にいる感覚になります。奥の部屋から「ごはんよ〜」と母の声も聞こえてきそうな気がします。
「音の思い出ってすごいわね」と2人で話をしました。
思い出の曲、思い出の時間があることって、幸せな事です。思い出のため、老後のためにピアノを弾くわけではないけど、ピアノを奏でて、懐かしの時間にタイムスリップ出来ること、宝物だなと思いました。
音の記憶は心にくっきり残る、ピアノを弾ける時間は、いつの時も平穏で、幸せな時間だと思います。単に練習だけど、されど練習、こんな時間も素敵な思い出時間になるはずです。
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